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デザイン案件

デザイン案件の獲得を考える

目次

 

1. はじめに:システム会社デザイン事業部の営業課題

システム会社にとって、デザイン事業部は収益の柱となる重要な部門です。しかし、昨今のデジタル化の進展は、デザイン業界の競争を激化させています。顧客のニーズも多様化・高度化し、従来の営業手法では案件獲得が難しくなってきているという現状があります。特にシステム会社内のデザイン事業部は、システム開発部門との連携不足や、デザインの価値訴求がうまくできていないなどの課題を抱えているケースが多く見られます。

システム会社デザイン事業部の営業における課題は多岐に渡ります。まず、顧客はシステム開発とデザイン制作を別々に発注するケースが多く、デザイン事業部単体での受注が難しいことがあります。加えて、価格競争に陥りやすく、デザインの価値を十分に伝えきれないまま、低価格での受注を迫られるケースも少なくありません。

課題

詳細

システム開発部門との連携不足

社内連携がうまくいかず、顧客への提案内容がシステムとデザインで一貫性を欠く場合がある

デザインの価値訴求の難しさ

デザインの重要性を理解してもらえず、予算確保が難しい

価格競争の激化

低価格競争に巻き込まれ、利益確保が困難

顧客ニーズの多様化・高度化

最新のデザイントレンドや技術への対応が求められる

営業人材の不足

デザインの知識と営業スキルを兼ね備えた人材の確保が難しい

これらの課題を解決するためには、他社との差別化を図り、顧客のビジネス課題解決に貢献できることを明確に示す必要があります。デザイン×システム開発のシナジー効果を最大限に活かし、顧客にとって真に価値のある提案を行うことが重要です。

2. 勝ち取るための営業戦略:他社との差別化ポイント

システム会社デザイン事業部がデザイン案件を獲得するためには、他社との差別化が不可欠です。価格競争に陥らず、顧客にとって真に価値ある提案をするためには、以下の4つのポイントを意識しましょう。

(1) デザイン×システム開発のシナジー効果を強調

デザインとシステム開発をワンストップで提供できることを強みとして打ち出しましょう。顧客は、別々に発注する手間やコストを削減でき、また、デザインとシステムの整合性が取れた質の高いサービスを受けられます。両部門の連携によるスムーズなプロジェクト進行や、一貫したユーザー体験の提供といったメリットを具体的に示すことが重要です。

(2) 顧客のビジネス課題解決に焦点を当てる

顧客は、デザインその自体を求めているのではなく、デザインを通してビジネス上の課題を解決したいと考えています。顧客のニーズを深く理解し、デザインによって売上向上や業務効率化などにどう貢献できるのかを明確に示す必要があります。例えば、顧客の抱える課題に合わせてWebサイト制作やUI/UXデザイン、ブランディングなど、最適なソリューションを提案することで、顧客のビジネスに貢献できることをアピールしましょう。

(3) 長期的なパートナーシップ構築を目指す

短期的な利益ではなく、顧客との長期的な関係構築を重視することで、安定した案件獲得に繋がります。顧客のビジネスを深く理解し、継続的な改善提案やサポートを行う姿勢を示すことが大切です。顧客にとって頼れるパートナーとなることで、継続的な受注や紹介による新規顧客獲得も期待できます。顧客の成功を共に喜び、共に成長していく姿勢が、信頼関係を築く上で重要です。

(4) 独自の強み・専門性を明確にする

特定の業界、UXデザイン、あるいは先端技術など、他社にはない独自の強みを明確にしましょう。例えば、医療業界に特化したデザイン実績や、VR/AR技術を活用したデザインなど、専門性を打ち出すことで、顧客にとっての選択基準を明確化し、競合との差別化に繋がります。ニッチな分野での専門性を高めることで、価格競争に巻き込まれず、付加価値の高いサービス提供が可能になります。

(1) デザイン×システム開発のシナジー効果を強調

デザイン事業部を持つシステム会社にとって、デザインとシステム開発のシナジー効果を強調することは、他社との差別化を図り、顧客獲得へと繋げる上で非常に重要なポイントです。単にデザインを提供するだけでなく、システム開発と一体的にサービスを提供することで、顧客にとってより大きな価値を提供できます。

参考資料にある「LINE」の様々なサービス事例を見てみると、デザインとシステム開発の融合がいかに効果的か理解できます。例えば、「LINE Pay」のような金融サービスでは、ユーザーフレンドリーなデザインとセキュアなシステム開発が両立することで、利用者の利便性と信頼性を同時に向上させています。また、「LINE NEWS」では、分かりやすいUI/UXデザインと高速な情報配信システムが組み合わることで、多くのユーザーに快適な情報閲覧体験を提供しています。

デザインとシステム開発を連携させることで得られるメリットは、以下の通りです。

メリット

説明

事例(LINEサービス)

ユーザー体験の向上

使いやすいインターフェース、魅力的なビジュアルを通して、ユーザーの満足度を高めます。

LINE Pay, LINE NEWS

開発効率の向上

デザイン思考を取り入れることで、開発プロセスを効率化し、開発コストを削減できます。

LINE証券

ブランド価値の向上

一貫したブランドイメージを反映したデザインと高機能なシステムは、企業のブランド価値を高めます。

LINE公式アカウント

新規サービスの創出

デザインとシステムの融合から、これまでにない革新的なサービスを生み出す可能性が広がります。

LINE CLOVER

これらのメリットを営業活動で効果的に伝えるためには、具体的な事例を用いることが重要です。例えば、「御社のようなBtoCサービスの場合、ユーザーエンゲージメントを高めるためには、直感的に操作できるUI/UXデザインと、大量のアクセスにも耐えられる安定したシステム基盤が不可欠です。我々は、デザインとシステム開発の両面から最適なソリューションを提供することで、御社のビジネス目標達成に貢献できると考えています。」のように、顧客の課題に合わせた提案を行うことで、成約率を高めることができます。

デザインとシステム開発のシナジー効果を最大限に発揮するためには、社内体制の整備も重要です。デザイナーとエンジニアが密に連携できる環境を構築し、共通の目標に向かって協力することで、より質の高いサービスを提供できるようになります。

(2) 顧客のビジネス課題解決に焦点を当てる

デザイン事業部として、顧客に選ばれるためには、デザインを提供するだけでなく、顧客のビジネス課題を解決することに焦点を当てることが重要です。顧客は、デザインそのものを求めているのではなく、デザインを通じてビジネス上の成果を達成したいと考えています。売上向上、ブランドイメージ向上、業務効率化など、顧客の抱える課題は様々です。デザイン事業部は、顧客の課題を理解し、デザインを通じてどのように解決できるのかを明確に示す必要があります。

顧客のビジネス課題を解決に焦点を当てるためには、顧客のニーズを深く理解する必要があります。顧客とのコミュニケーションを通じて、現状の課題や将来の目標を丁寧にヒアリングし、潜在的なニーズまで掘り下げることが重要です。例えば、顧客がWebサイトのリニューアルを検討している場合、単にデザインの刷新だけでなく、Webサイトを通じてどのようなビジネス目標を達成したいのかを明確にする必要があります。アクセス数の増加、問い合わせ数の増加、商品の購入率向上など、顧客の具体的な目標を把握することで、デザインの方向性を定めることができます。

顧客のニーズを理解したら、デザインを通じてどのように課題を解決できるのかを具体的に提案します。デザイン提案は、顧客のビジネス目標達成にどのように貢献するのかを明確に示す必要があります。例えば、以下のような提案が考えられます。

課題

デザイン提案

効果

ブランドイメージの向上

ターゲット層に合わせたブランドロゴ、Webサイトデザイン

ブランド認知度向上、顧客ロイヤルティ向上

売上向上

商品の魅力を伝えるWebサイトデザイン、購買意欲を高める商品パッケージデザイン

Webサイトからの売上増加、商品販売数の増加

業務効率化

業務フローに合わせたシステムUI/UXデザイン

作業時間の短縮、業務ミスの削減

顧客のビジネス課題を解決するためには、デザインだけでなく、システム開発との連携も重要です。システム会社デザイン事業部は、デザインとシステム開発の両方の expertise を持つことで、顧客にとってワンストップで課題解決できるパートナーとなります。顧客のニーズに合わせて、デザインとシステムを最適に組み合わせることで、より効果的なソリューションを提供できます。

顧客との信頼関係を構築することも重要です。顧客は、デザインの質だけでなく、デザイン事業部の担当者との信頼関係も重視します。顧客の立場に立って親身に対応し、丁寧なコミュニケーションを心がけることで、顧客との長期的なパートナーシップを築くことができます。顧客との信頼関係は、新たなデザイン案件の獲得にも繋がります。

(3) 長期的なパートナーシップ構築を目指す

システム会社デザイン事業部が安定した案件獲得を実現するためには、顧客との長期的なパートナーシップ構築が不可欠です。短期的な利益追求ではなく、顧客のビジネス成長に寄り添い、共に発展していく姿勢が、信頼関係を築き、継続的な取引につながります。

顧客との長期的なパートナーシップ構築によるメリットは多岐に渡ります。例えば、継続的な案件獲得による安定した収益確保、顧客ニーズの深い理解に基づく質の高いサービス提供、そして顧客からの紹介による新規顧客獲得などが期待できます。

では、どのように長期的なパートナーシップを築いていくのでしょうか? いくつかの具体的な方法を以下に示します。

パートナーシップ構築のポイント

具体的な行動

顧客理解の深化

顧客のビジネス目標、課題、そして企業文化まで深く理解する努力を惜しまない。定期的なミーティングやヒアリングを通して、変化するニーズを常に把握する。

積極的なコミュニケーション

顧客とのコミュニケーションは、密に、そして双方向であることが重要。プロジェクトの進捗状況だけでなく、市場動向や技術トレンドなどの情報も積極的に共有する。

柔軟な対応力

顧客の状況変化に柔軟に対応できる体制を整える。時には、契約内容の見直しや追加提案を行うなど、顧客にとって最適なソリューションを提供する。

相互の信頼関係構築

顧客との約束は必ず守り、誠実な対応を心がける。小さな成功体験を積み重ねることで、信頼関係はより強固なものとなる。

顧客の成功を第一に考える

顧客の成功が、自社の成功にも繋がるという意識を持つことが重要。顧客のビジネス成長に貢献できるよう、常に最善の努力を尽くす。

これらのポイントを踏まえ、顧客との良好な関係を築き、長期的なパートナーシップを構築することで、システム会社デザイン事業部は安定した成長を実現できるでしょう。顧客との信頼関係は一朝一夕に築けるものではありません。継続的な努力と誠実な対応を通して、顧客にとってなくてはならない存在を目指しましょう。

(4) 独自の強み・専門性を明確にする (例:特定業界、UXデザイン、先端技術など)

デザイン事業部を持つシステム会社は数多く存在します。その中で、他社と差別化を図り、顧客から選ばれるためには、独自の強み・専門性を明確にすることが重要です。得意とする業界や技術、デザイン領域に特化することで、専門性の高さをアピールし、顧客の信頼を獲得できます。

独自の強み・専門性を明確にするための例として下記が挙げられます。

強み・専門性

説明

特定業界特化

特定の業界に特化することで、その業界の専門知識や業務プロセスを深く理解し、顧客のニーズに合わせた最適なデザインを提供できます。例えば、医療業界に特化するのであれば、医療機関特有のシステムや法規制に関する知識を深め、医療従事者や患者にとって使いやすいデザインを提案できます。

UXデザイン特化

UXデザインは、ユーザー体験を重視したデザイン手法であり、近年注目を集めています。ユーザーリサーチに基づいて、ユーザーにとって使いやすいだけでなく、心地よく、楽しい体験を提供するデザインを強みとすることで、顧客の満足度向上に貢献できます。

先端技術活用

AR/VR、AI、IoTなどの先端技術を活用したデザインは、顧客に革新的な体験を提供し、競合他社との差別化を図る上で有効です。例えば、AR技術を用いて、商品の3Dモデルを現実空間に表示させ、インタラクティブな操作を可能にすることで、顧客の購買意欲を高めることができます。

特定のデザイン領域

UIデザイン、Webデザイン、アプリデザイン、グラフィックデザインなど、特定のデザイン領域に特化することで、専門性の高さをアピールできます。例えば、UIデザインに特化するのであれば、ユーザーインターフェースの設計に精通し、操作性や視認性に優れたデザインを提供することで、顧客の業務効率化に貢献できます。

 

続き: 第2回 他社と差をつける!システム会社デザイン事業部のための【効果的な営業戦略】事例集

 

これらの強み・専門性を明確にすることで、顧客にとって「なぜ自社を選ぶべきか」という理由が明確になり、受注確率の向上に繋がります。また、社内でもそれぞれの強み・専門性を活かした役割分担やスキルアップを促進することで、組織全体の成長にも繋がります。

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