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日本の補助金と助成金

目次

 

はじめに

2025年度も、様々な公的支援制度である補助金・助成金を戦略的に活用することで事業の成長を戦略的に促進できます。そこで、2025年度に活用できる主要な補助金・助成金の中から、特に事業者が活用しやすいものをご紹介します。

2025年度の補助金・助成金活用で事業成長を促進

2025年度も、政府は企業の事業成長を促進するため、様々な補助金・助成金制度を用意しています。特に、令和6年度補正予算案では、中小企業支援に5,600億円が計上されており、既存の補助金・助成金の拡充に加え、新たな制度も創設されています。 例えば、「ものづくり補助金」は、製品・サービスの高付加価値化やグローバル展開を支援する枠組みへと改編され、最低賃金を引き上げる企業には補助率の優遇措置が設けられています。また、新たに創設された「中小企業成長加速化補助金」は、売上高100億円を目指す成長志向型の企業を対象に、設備投資などを支援します。これらの補助金・助成金は、事業規模や業種、成長段階に応じて多岐にわたる選択肢を提供しています。各制度の公募期間や要件を事前に確認し、自社の事業戦略に最適な支援制度を活用することが重要です。これらの主要な補助金・助成金について、一部の具体的な内容と対象を詳しく解説していきます。

 

補助金名

概要

対象

ものづくり補助金

生産プロセス改善、新製品・サービス開発支援

中小企業・小規模事業者

IT導入補助金

ITツール導入支援

中小企業・小規模事業者

持続化補助金

販路開拓等支援

小規模事業者

事業承継・M&A補助金

事業承継、M&A支援

中小企業・小規模事業者

中小企業成長加速化補助金

設備投資等支援

成長志向型中小企業

新事業進出補助金

新市場進出のための設備投資支援

事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上を見込む事業者

人材開発支援助成金

 

中小企業・小規模事業者

これらの補助金・助成金は、それぞれ異なる目的や対象企業が設定されているため、自社の事業計画に合った制度を選択することが重要です。申請には、事業計画の作成や必要書類の提出など、一定の手続きが必要となります。

積極的に情報収集を行い、最新の制度動向を把握することで、自社の成長戦略に最適な補助金・助成金活用を実現しましょう。また、申請期間や提出書類も各制度で異なるため、余裕をもって準備を進めることが重要です。専門家への相談も有効な手段の一つと言えるでしょう。

注目の補助金・助成金

創業や起業、DX推進、環境対策、人材育成、事業承継など、様々な分野で活用できる補助金・助成金が存在します。ここでは、特に注目すべき分野と、それぞれの分野で利用できる主な補助金・助成金について解説します。

これらの制度は、事業の立ち上げから成長、そして持続的な発展まで、企業のライフサイクル全体をサポートするように設計されています。それぞれの制度には、対象となる事業規模や業種、支援内容、申請条件などが細かく定められています。そのため、自社の状況や事業計画と照らし合わせ、最適な制度を選択することが重要です。また、複数の制度を組み合わせることで、より効果的な資金調達や事業推進が可能になる場合もあります。

(1) 創業・起業支援

持続化補助金

補助金名

概要

小規模事業者持続化補助金

販路開拓等に必要な経費の一部を補助

(2) デジタル化・IT導入支援

業務効率化やDX推進のためのITツール導入を支援します。

補助金名

概要

IT導入補助金

ソフトウェア、アプリ、サービス等の導入費用を補助

(3) 製品・サービス開発支援 生産プロセス改善や革新的な製品・サービス開発を支援する制度

補助金名

概要

ものづくり補助金

生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資導入を補助

補助金名

概要

中小企業成長加速化補助金

売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の、設備投資を支援

(4) 人材育成

人材育成を支援する制度

補助金名

概要

人材開発支援助成金

従業員の知識や技能の取得支援

(1) 創業・起業支援

持続化補助金

持続化補助金は販路路開拓を主とした取り組みであれば、新規事業者でも利用可能です。ただし、小規模事業者向けですので、業種によっては従業員数5人以下などの会社規模の制限があります。また、補助対象となる経費も細かく定められているため、事前に詳細な要件を確認することが重要です。特に、創業間もない事業者は、事業計画の内容や資金計画が審査のポイントとなるため、専門家への相談も視野に入れると良いでしょう。これらの支援策を効果的に活用することで、事業の立ち上げを円滑に進めることが期待できます。加えて、地域や業種によっては、地方自治体独自の創業支援制度も利用できる場合があります。これらの制度は、国や都道府県の補助金と併用できる場合もあり、より手厚い支援を受けられる可能性も広がります。各自治体のウェブサイトや窓口で詳細を確認し、自社の事業計画に最適な支援策を見つけ出すことが、事業の成功への第一歩となるでしょう。

持続化補助金創業型は、これから事業を始める方や、創業間もない事業者が対象で、販路開拓や業務効率化にかかる費用を補助する制度です。補助を受けるには、市区町村の特定創業支援等事業の支援を受ける必要があり、事業計画の内容や実現可能性が審査されます。対象となる経費や補助率、申請期間などの詳細は、必ず最新の公募要領を確認しましょう。

項目

内容

補助金名

持続化補助金(創業型)

補助金額

200万円※インボイス特例は適用

要件

産競法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者

補助率

2/3(インボイス枠は事業規模によりその他変更があります)

対象経費

機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費(税理士等への相談・コンサルティング費用など)

対象事業者

中小企業・小規模事業者

参考資料URL:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_jizoku_summary.pdf

(2) デジタル化・IT導入支援

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を目的とした補助金制度です。2025年も継続が決定し、デジタル技術の導入による業務効率化や売上向上を支援します。具体的には、業務効率化に役立つSaaSや、顧客管理システム(CRM)、会計システム等の導入費用が補助されます。これにより、バックオフィス業務の効率化や顧客データに基づいた戦略的な営業活動が可能となり、企業の成長を後押しします。IT導入補助金は、通常枠に加え、インボイス制度に対応するためのインボイス枠、セキュリティ対策を強化するためのセキュリティ対策推進枠が設けられています。

通常枠

IT導入補助金通常枠では、業務効率化や生産性向上に資するソフトウェア、システム等の導入費用が補助対象です。具体的には、顧客管理システム(CRM)や、会計ソフト、受発注システムなどが挙げられます。これらのツール導入により、業務プロセスが最適化され、従業員の負担軽減や、より戦略的な業務へのシフトが可能になります。また、クラウドサービスの利用も補助対象となるため、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を推進することもできます。

インボイス枠

IT導入補助インボイス枠は的には、請求書発行システムや会計ソフトの改修費用などが補助対象となります。これにより、インボイス制度への対応を円滑に進め、制度変更による事業者の負担を軽減することができます。制度開始後も、制度変更に合わせたITツール導入や改修を支援することで、継続的な制度対応をサポートします。

セキュリティ対策推進枠

IT導入補助金セキュリティ対策推進枠では、サイバー攻撃対策に有効なセキュリティソフトやサービスの導入費用が補助されます。具体的には、ウイルス対策ソフト、不正アクセス検知システム、セキュリティ診断サービスなどが対象です。これらの導入により、情報漏洩リスクを低減し、事業継続性を高めることができます。近年、巧妙化するサイバー攻撃から企業を守るために、セキュリティ対策は不可欠であり、この枠を活用することで、より強固なセキュリティ体制を構築することが可能です。

項目

内容

補助対象

ITツール導入費用 (ソフトウェア、システム等)、導入関連費用 (コンサルティング、研修等)

補助金額

通常枠:最大450万円、インボイス枠:最大350万円)、セキュリティ対策推進枠:最大150万円

補助率

1/2~2/3(インボイス枠は事業規模によりその他変更があります)

対象事業者

中小企業・小規模事業者

2025年度の変更点として、セキュリティ対策推進枠の補助額が最大150万円に拡充、最低賃金近傍事業者の補助率が2/3に引き上げられました。また、導入関連費用として、ITツールの保守サポート、マニュアル作成、活用支援なども対象となります。 これらのITツール導入により、バックオフィス業務の効率化だけでなく、顧客管理の高度化やデータに基づいた意思決定が可能になります。自社の課題や目指すビジネスモデルに合わせて最適なツールを選択し、補助金を活用することで、事業成長を大きく加速させることが期待できるでしょう。IT導入補助金の申請に際しては、最新の公募要項を必ず確認し、必要書類を準備することが重要です。

中小企業庁のウェブサイトなどで最新情報を確認するようにしましょう。

参考:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it.pdf

(3) 製品・サービス開発支援

ものづくり補助金

ものづくり補助金は中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援する補助金です。

項目

内容

補助金名

ものづくり補助金

補助率

製品・サービス高付加価値化枠:中小企業1/2、小規模・再生2/3

グローバル枠:中小企業1/2、小規模2/3

補助上限

製品・サービス高付加価値化枠:750万円~2,500万円

グローバル枠:3000万

対象経費

機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費

ものづくり補助金は、革新的な製品やサービスの開発を支援するだけでなく、販路開拓や市場への浸透も後押しします。自社の技術力を活かし、新たな市場への挑戦を考えている事業者にとって、非常に魅力的な補助金と言えるでしょう。特にグローバル展開を視野に入れている場合、海外旅費や通訳・翻訳費も対象となるため、積極的な活用が可能です。

2025年度の制度では収益納付義務が撤廃され、より柔軟な事業成果の活用が可能になりました。この変更により、補助金を受けて開発した製品やサービスから得た収益を、より自由に事業再投資に回せるようになり、持続的な成長を促進することが期待されます。また、ものづくり補助金は、事業者の多様なニーズに応えるため、複数の枠が設けられている点も特徴です。自社の事業規模や戦略に合った枠を選択し、最大限に活用することで、事業成長を大きく加速させることができるでしょう。

参考資料:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_mono.pdf

 

中小企業成長加速化補助金

中小企業成長加速化補助金は、中小企業の成長戦略を加速させるための支援制度です。

項目

内容

補助事業の要件

中小企業者

投資額が 1億円以上(税抜き)

売上高 100億円を目指すビジョンを策定・公表

一定の賃上げ要件等を満たす補助事業終了後 3年間の事業計画書を策定し、実行すること 等

補助対象経費

建物費、機械装置等費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費 等

補助率

1/2

上限額

5億円

中小企業成長加速化補助金は、高い成長を目指す中小企業を対象とした、最大5億円の補助金制度です。特に、売上高100億円を目標とする事業計画や、積極的な投資、賃上げが要件となっています。建物費や機械装置の導入など、幅広い経費が補助対象となるため、成長戦略を加速させるための強力な後押しとなるでしょう。詳細な要件はご確認ください。

 

(4) 人材育成

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、従業員の職業能力開発を支援する制度です。事業主が従業員に行う研修や訓練などの費用の一部を助成します。OFF-JT(事業所外訓練)だけでなく、OJT(事業所内訓練)も対象となる場合があります。また、デジタル人材育成コースや高度デジタル人材育成コースなど、特定の分野に特化したコースも設けられています。人材育成は企業の成長に不可欠です。助成金を活用し、従業員のスキルアップを図りましょう。

人材開発コース

事業主が実施する職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練に対して助成が行われます。具体的には、研修費、教材費、外部講師への謝金などが対象となり、従業員のスキルアップを幅広く支援します。助成額は訓練内容や対象者によって異なりますが、人材育成にかかるコストを大幅に削減できる可能性があります。

教育訓練休暇等付与コース

従業員が自発的に行う教育訓練を支援するための制度です。事業主が従業員に対し、教育訓練のための休暇を付与した場合に助成金が支給されます。従業員の自己啓発を促進し、キャリアアップを支援することで、組織全体の能力向上に繋がることが期待されます。このコースは、従業員の学習意欲を高め、長期的な視点での人材育成を支援します。

建設労働者認定訓練コース

建設業における労働者の技能向上を目的とした訓練を支援します。認定された訓練機関で実施される訓練に対し、費用の一部が助成されます。建設業界の専門スキルを向上させることで、企業の競争力強化に繋がります。

建設労働者技能実習コース

受け入れにかかる費用の一部が助成され、技能実習を通じた人材育成を促進します。外国人技能実習生を受け入れることで、国際的な視野を持った人材育成にもつながるでしょう。

ひとへの投資促進コース

企業が従業員のキャリアアップを支援する際に活用できる制度です。高度な専門知識や技能を習得させるための訓練を支援します。企業が従業員の能力開発を積極的に行うことで、生産性向上やイノベーションの創出が期待できます。このコースでは、訓練費用の助成に加え、訓練期間中の賃金の一部も助成される場合があります。これらのコースを組み合わせ、計画的な人材育成を進めることが企業の成長に不可欠です。

リスキリング支援コース

新規事業の立ち上げや事業転換に伴い、従業員に新たなスキルを習得させるための研修を支援します。市場の変化に対応し、企業の競争力を高めるために、リスキリングは不可欠です。このコースを活用することで、企業は戦略的な人材育成を進めることができ、持続的な成長へと繋げることが期待できます。

参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

■まとめ

申請にあたっては、それぞれの補助金・助成金の要件や申請手続きをよく確認し、適切な書類を準備することが重要です。また、申請期限も定められているため、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。助成金申請の失敗例として、要件の誤解や書類不備による不採択が挙げられます。特に、事業計画の具体性や実現可能性が不足していると、審査で不利になる傾向があります。また、期限直前の駆け込み申請も、準備不足からミスを招きやすいです。申請を成功させるためには、事前の情報収集と計画的な準備が不可欠です。専門家や支援機関のサポートを受けながら進めることも有効です。補助金・助成金は、事業の成長を大きく後押しする強力なツールとなります。積極的に情報を収集し、自社の事業戦略に合ったものを活用することで、事業の発展に繋げていきましょう。

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